2012年9月14日金曜日

プリズンホテル2 秋ドッグイヤー

小説家と呼ばれる人々はみな一見ひよわそうだが、実は乱暴者が多い。作ることとぶっこわすことは同じ仕事のうちだから、自然そうなる。
p9より

「ソレハ皆同ジヨ。死ヌコトニ理由ハナイケド、生キテクタメニハ理由ガイリマス」
p205より

 ベランダを被う草むらが、満月を透かして少女の肩を赤く染めていた。サーバーに湯を満たしてから、美加は途方に暮れたように、ガラス越しの夜の楓を見上げた。
「きれい……赤ちゃんの手がいっぱいバンザイして、お月さま、笑ってる」
p250より

「立派な絵描きになれってか。そうだ、頑張れ。おまえはもしかしたら天才かもしれない」
「てんさい、って?」
「才能を信じ続ける才能のことだよ」
p360より

 ほんの一瞬考えこんだだけで、富江は事態を察知した。
<孝ちゃん、そこに誰かいるのね、仲蔵さん?……まさか……まさか、おかあさんがいるんじゃないでしょうね>
(略)
「富江はな、おまえのために人生を棒に振ったんだ。おまえが男とかけおちしってから、すっかり老けこんでしまったおやじを見るに見かねて、メソメソ泣いてばかりいる子供が不憫で……十七だぞ。知ってるだろ。たった十七の、東京の右も左もわからん、集団就職で秋田から出てきた女工だぞ。近所のババアどもから、おまえを追い出して後添いにおさまったなんて陰口たたかれて、俺の父兄会に出てきても廊下でオロオロして、用務員にまで頭下げてたんだ。かわれよ。そくぞここまでセガレを育ててくれましたって、親子ほど年の離れたおやじに、よくぞ抱かれてくれましたって。あやまれよ、さあ、ほめてやれよ」
p409-410

しかしまぁ人気作家なだけに勝手にblogに折った部分をupして著作権どうのこうのとなったら堪らんのぉ~。

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